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異境の夜に解ける緊張。愛媛の宿で出会った、ジャージと「余り物」の洗礼。

──2011年3月28日の記録を、今の店主の視点で編み直した追記録。

大分での慌ただしい撤去を終え、漆黒の海を越えて四国へと降り立ったあの日。一気に高松を目指すには少しばかり体力が心許なく、店主は愛媛の地で一夜を明かすことにしました。初めて訪れる愛媛の夜。どこか浮き立つような心持ちで車を走らせ、宿に辿り着いたのは、日付も変わった午前0時を過ぎた頃でした。

ビジネスホテルを予約したつもりが、目の前に現れたのは、一階が食堂になった民家のような佇まい。そこで店主を待っていたのは、割烹着に身を包んだ、なんとも温かなおばあちゃんでした。

■ 浴衣ならぬ「実家」のぬくもり

「身体の大きさが分からないから」とフロントで渡された部屋着。ホテルの浴衣を想像して差し出した店主の手に置かれたのは、なんと、着古されたようなFILAのトレーナー上下でした。これには店主も、思わず心の中で「ばぁさん、これは……完全にマジの部屋着ですね?」と突っ込まずにはいられませんでした。

さらに追い打ちをかけるように差し出されたのが、宿の名物だという「ジャンボいなり」と缶コーヒー。「今日余ったものだから」と添えられた一言に、都会の洗練されたサービスとは無縁の、隠しきれない親戚の家のような生々しさを感じたものです。おばあちゃんの尽きることのない世間話に耳を傾けること、およそ十分。ようやく解放されて向かった部屋に冷蔵庫がないことを知った時、店主は「郷に入っては郷に従おう」と、ただ静かに眠りにつきました。

■ 旅の余白が、心を緩める

翌日に控えた高松での「初上陸」という緊張感を前に、この愛媛での滑稽で温かな一夜は、店主にとって不思議な緩衝材となりました。高級なもてなしよりも、不器用で真っ直ぐな「余り物」の好意が、時に旅人の心を深く癒やすことがあります。

ジャージに身を包み、ジャンボいなりを頬張ったあの夜。不便さの中に宿る、言いようのない豊かさ。それもまた、各地を巡りながら石を紡ぐ店主が、旅から教わった大切な智慧の一つだったのかもしれません。高松での「静かな洗礼」が待っているとは夢にも思わず、店主はジャージの温もりに包まれて、深い眠りに落ちていきました。


【結びの余韻】
日々のささやかな気づきが、誰かの心の灯火になりますように。
この歩みを静かに見守り、背中を押してくださる皆様の存在が、何よりの励みです。

もし、今日の言葉が心に小さく響いたなら。
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