空の混乱、地上の熱狂。親知らずの呪縛を解き、店主は札幌の「塊」を糧に福岡・天神へ。
一昨日の地震。そして、昨日の管制システムトラブル。
逃げ場のない混乱の中で三度の搭乗変更を強いられながらも、ようやく夜に広島空港へと降り立ちました。
空港の駐車場で待っていた車に乗り込み、夜を徹して西へ車を走らせる。
けれど、この移動は単なる「帰還」ではありません。札幌での激闘を終え、次なる福岡・天神鑑定会へと向かうための、止まることの許されない「移動」の地続きなのです。
今回の札幌遠征。その幕が上がる直前まで、店主は二週間に及ぶ「親知らず」の激痛に苛まれていました。
思考を奪い、体力を削り取る、逃げ場のない痛み。ようやくその呪縛から解き放たれ、失った熱量を取り戻すために店主が求めたのは、あの泥臭いまでの生命力の塊でした。

向かったのは、4月17日の「東方明珠飯店」。
鑑定会前日、己を奮い立たせるための熱量を求め、赤い暖簾を潜りました。

運ばれてきたそれを見て、思わず笑みがこぼれました。
皿から溢れんばかりに積み上げられた、巨大なザンギの山。
店主が欲していたのは、この圧倒的な、暴力的なまでの生命力でした。

箸で持ち上げるのも一苦労なほどの塊を、豪快に噛み砕きます。
痛みで「食事=死闘」となっていた空白を埋めるように、肉汁と香ばしさが身体の芯へと染み渡る。
この熱い塊が、鑑定に向けた覚悟を再び灯してくれました。

白飯、スープ、飾られた副菜、そして山盛りの肉。
理屈など何一つ存在しない食卓で、ただ「喰らう」ことを通じて自らの輪郭を濃くしていく。
そして、札幌の息吹を記憶に刻むためにもう一箇所。

「どんぐり」の大通店。
札幌のソウルフード「ちくわパン」を求めて。店内には、焼きたての香ばしい匂いと、家路を急ぐ人々の活気が渦巻いていました。

整然と並べられたパンの群れ。一つ手に取れば、ずっしりと重い。
この質量こそが、地に足を着けて歩き出すための、何よりの導標となりました。

店を出れば、テレビ塔が札幌の空に真っ直ぐ立っていました。
この数日後に、あのような空の混乱という荒波が待っているとは露知らず、ただひたすらに「喰らえる喜び」を噛み締めていた、あの冷涼な風の記憶。
そうして迎えた鑑定会の三日間。
クライアント様と向き合い、魂を削り、言葉を紡ぎ出す日々の中で、店主の身体を支えていた影の立役者がいます。

北海道限定、「ソフトカツゲン」。
札幌駅裏の会場で、激闘の合間に渇いた喉に流し込むこの甘みは、単なる飲料以上の滋養でした。
土地の熱量を飲み込み、内側から自分を再起動させていく。この青いパックに、何度心を調律してもらったことか。
旅は、予定通りにいかないからこそ、面白い。
三度の搭乗変更も、千歳での足止めも、すべては店主の旅に深みを与えるスパイスに過ぎません。

機上で見たあの静かな夕焼けを胸に、店主は今、山口の地を通過しています。
昨夜、深夜の移動の果てにようやく一息つき、止まることなく再び本拠地・北九州の瑞照庵、そして福岡へと意識を向ける。
お腹がいっぱいになれば、また明日も歩き出せる。
福岡の皆様、天神の地で、泥臭く、全力でお逢いしましょう。
【結びの余韻】
日々のささやかな気づきが、誰かの心の灯火になりますように。
この歩みを静かに見守り、背中を押してくださる皆様の存在が、何よりの励みです。
もし、今日の言葉が心に小さく響いたなら。
こちらから、一筋の応援を届けていただければ幸いです。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。



この記事へのコメントはありません。