一珠に注ぐ魂の総量。受注制限という名の、職人としての「誠実な限界」。
──2011年4月6日の記録を、今の店主の視点で編み直した追記録。
佐賀での鑑定会が続く中、店主はある大きな決断を下しました。それは、これまで無制限にお受けしてきたメールでのご依頼に、明確な「枠」を設けること。当時の記録に記されたその数は、わずか十本でした。
今の自分なら、その時の店主の胸中が痛いほどわかります。全国から寄せられる切実な願い。そのすべてに応えたいという想いがある一方で、一人で石を選び、繋ぎ、梱包して届けるまでの工程において、一分一秒たりとも「事務的」な作業に落とし込みたくなかった。その葛藤の末に導き出したのが、この「十本」という数字だったのです。
■ 「量」よりも「光」を届けるために
鑑定会という旅の空の下で、集中力を研ぎ澄ませて石と対話する。不調を抱えながらも、決して妥協を許さない制作の時間を確保するためには、物理的な限界を認める勇気が必要でした。十本という限られた枠は、決して「お断り」のための数字ではなく、その十名の方に対して、今の自分が持つ最高密度の「光」を注ぎ込むための約束だったのです。
当時、締め切りを急ぎ、異例のスケジュールで発表したその裏側には、一刻も早く、石を待つ方々の元へ確かな一品を届けたいという焦燥にも似た情熱がありました。日々、膨大な情報とスピードに追われる現代だからこそ、この「十本」という数字に込めた、不器用なまでの誠実さが胸を打ちます。
■ 終わりのない、精進の旅
あれから年月が経ち、手法や環境が変わっても、店主が守り続けている芯は変わりません。「幸せ請負人」を名乗る以上、届けるのは単なる石ではなく、その人の人生を照らす灯火でなければならない。そのために、自らに課した「規律」を重んじる。
佐賀の夜、パソコンの画面越しに、まだ見ぬクライアント様への想いを馳せていた若き店主。その真っ直ぐな瞳が、今の店主の背中を静かに押し続けています。一珠一珠、丁寧に。その誓いを新たに、今日もまた掌を温めます。
【結びの余韻】
日々のささやかな気づきが、誰かの心の灯火になりますように。
この歩みを静かに見守り、背中を押してくださる皆様の存在が、何よりの励みです。
もし、今日の言葉が心に小さく響いたなら。
こちらから、一筋の応援を届けていただければ幸いです。
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